気になるとなり

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その奇妙な喫茶店は、私の店のとなりにある。 毎日決まった時間に店主であろう人物が店にきて、決まった時間に外に出てきて、ときどきうちの店を覗いている。 覗くのは毎日じゃなく、ランダムだ。 でも時間は決まって朝の8時。 手に箒とちりとりを携えてるから外回りの掃除に出てくるんだろう。 うちはこれといった変哲のない古書店だ。 扱っているのは資料書や文庫、蔵書など。 漫画や情報雑誌は扱っていない。 少々かたっ苦しいかもしれないが、仕入れだすとキリがないのが理由のひとつだ。 集客力があるとは言えない。 しかし読み捨てるにはもったいない書物が、また新たな読者の手に渡って大事にしてもらえる事実があるからこそ続けていられる商売じゃないだろうか。 本に託された思いも一緒に、大切にしてもらえる人の元へと届ける。 これがうちの店のモットー。 儲けは度外視…とまでは言わないが、あまり気にしていないのが本音だ。 そして、もうひとつ。 これは知る人ぞ知る『営業内容』ではあるのだが、知らない人はまったく知らない。
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