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外の景色は田んぼや畑が広がりのどかだ。イロのある世界は、今の私には眩しすぎる。隣にいる彼をちらりと見る。口を開かなければ、社会のことも知らない子供のように見える。
会社の従順にさせるために記憶を奪い、会社のためになる人材を記憶にすり込む。そうやって、私の会社は動いていたのか。とんでもない会社に入ってしまったものだ。そんなことを考えていると、次第に意識が朦朧としてきた。
彼は私の様子を見ながら言った。
「そろそろ、薬の効果が現れてきましたか。大丈夫です。あなたは二回目ですから、体が覚えていることでしょう。ただ、半日ほど眠るだけです」
私は薄れゆく意識の中、次こそ彼らの存在を明るみに出してやると誓った。そして、私の視界は暗転した。
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