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 会議は長引いた。部長のお説教から会議は始まり、終始、私は怒鳴られ続けた。確かに、私は自分で作成した企画書のことを忘れてしまっていたのだから、仕方がないのかもしれない。 それでも、私には全く身に覚えがなかった。企画書にはちゃんと私の名前が記載されている。けれども、それは別の誰かが私の名前を使って書いたのではないかと、疑ってしまうほど実感がわかなかった。    イロが消えた日から、おそらく、何万回と考えを巡らせてきた。その消えた日すらも、私にはわからない。でも、普通に考えて、イロがなくなったら、嫌でも記憶に残るはず。 それなのに私の記憶のどこを探しても、見当たらなかった。本当にストレスだけが原因なのだろうか。私の中にあるモヤモヤとしたものが、上腹部あたりを気持ち悪くさせた。
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