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紳士的に振る舞い丁寧にお辞儀をして見せる。
下げた頭を上げるとグレイはふっと口端をつり上げルナを見た。
ゆっくりと背を向ける。
石の床に映った高身長の影が月に照らされ尚更に長く伸び、スラリとした足で品良く歩く後ろ姿はまさしく立派な肩書きを背負った伯爵様、グレイ・クロスフォード伯爵だ。
…また…こんな時間に…
胸の内の言葉が聞こえたのだろうか。バルコニーから外に向かう背中を疲れきった瞳で見送る。そんなルナをグレイは振り返った。
「……っ!…」
やだっ!?…また聞かれたのかしら…
微かに不敵な笑みを浮かべ、紳士の挨拶を返すようにグレイは指先で帽子のつばをクイッと動かす。そして夜の空へと羽ばたいて行った。
毎晩そうだった…
ルナを一頻り抱いた後、グレイは毎回のように礼服を身に纏っては夜の空へと出掛けていく。
散々交わった後にあっさりと自分を置いて、一体こんな時間に何処へと行くのだろうか…
ルナはフラ付く躰を引きずるようにベッドから出ると、ぬるいシャワーを浴びた。
ここに連れて来られてから毎日の淫らな行為。
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