3章 魔物の宴

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・ どんなに抵抗しても、魔力で簡単にねじふせられてしまう… 恐ろしいと思いながらも抱かれる行為には躰が遠の昔に慣れてしまい、最後はいつも自分から声を漏らしている。 ルナはふと何度か嚼まれた首筋に手を宛てた。 あまりにも美味過ぎて、吸血行為でルナは一度意識を喪い掛けたことがあった。 契約は結ばれているものの、ルナはまだ立派な生身の人間だ。行き過ぎた吸血行為は命を脅かす。 クタリと蒼い顔で身動き一つしなくなったルナに気付き、グレイは慌てて執事のモーリスを呼び付けた事があった… あれからか、グレイはまだルナへの吸血を行っていない。 …永遠の俺の餌だといったのに、あたし血を求めてこない… 求めてくるのはいつも最低なあの行為だけっ… ルナは憤りを露に濡らした髪を豪快に洗い始めた。 最低だわっ… 最低っ!! ほんっとに最低っ!! 何百年も生きてるジジイの癖にっ… 怒れば怒る程腹が立ってくる。 そんなルナの心の叫びは遥かに離れた華やかな社交場で酒を嗜むグレイの脳裏にしっかりと届いていた。
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