アンテナショップ

3/5
前へ
/5ページ
次へ
ある日の真夜中、ベッドに寝転んでスマートフォンでネットサーフィンしながら過ごしていると、不規則な電子音のようなものが微かに耳に届いた。 何だろう、と気になりだすと更にその音は耳に纏い付く。 外から聞こえてくるその正体を知るべく、ベッドを下りカーテンと窓を開けた。 町の遥か向こう。 真っ暗な中に一ヶ所ぽつんと灯る青白い光。 それはあの小高い山の上の『アンテナショップ』の屋根の大きなアンテナだった。 音もそこから出ているようだ。 「お婆ちゃん、何してるんだろう」 気になってそのまま眺めていると、空が緑色に強く光った。 音はないから稲妻ではない。 そして瞬く間に、辺りはまた暗闇に包まれる。 錯覚のような不思議な光景に呆気に取られてしまって、更なる重大事態に気付くのが遅れた。
/5ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加