◇秘密のバンパイア・フレンド◇

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「でも、あんなにモテるなら男冥利(みょうり)につきるんじゃない? すごいよ、みんな口をそろえて“カッコいい”とか“同じ学校で最高”とか。たまに羨ましがってる男子も見るし」 「そう見える?」 「ん~、どうかな。私男じゃないし。でも男っておもしろいよね。これが女子だったら、冬馬くんみたいなタイプは速攻で目の敵にされるもん」  朱音はくすくすと笑う。 「それで、月城さんはどう思ってるの? 僕のこと」 「どうって、普通だよ。……プラマイゼロってところかな」 「え、何が?」 「ああ、こっちの話」 「普通かあ……、しょっとショックだな」  冗談めかしく言う冬馬に、朱音は笑う。 ――何だろうな。こいつといると、結構楽しいかも。  そのとき、昼休みを終えるチャイムが鳴る。 「あ、もうこんな時間。教科書とか取りにもどらないと」 「そうだね」 ***  その後、私達は教科書を取りに教室へもどってから、ふたたび科学室を訪れた。  おもちゃのたぐいは加速度お実験道具として使用された。  ひとりの時間を終えた久遠冬馬は、また女子や男子にかまわれっぱなしになっていた。  どう見てもモテモテだろうと思うんだけど、そうじゃないのかな……。  一方で、私は宣言どおり高松をぶん殴ってやった。  それから後片づけを一人でやらせたら、気分がスッキリした。 ***  ―――― 「ただいま」 「おっかえり~」  帰宅した朱音を、廊下をバタバタと走って、弟の蒼太がむかえた。 ***  弟の蒼太だ。  来春に卒業式を控えた、11歳の小学6年生。  姉弟(きょうだい)あわせて赤と青ってことなんだけど、親父にしちゃあまあまあなセンスだと思う。 ***  そこへ、両親もやってくる。 「おかえりなさい。朱音ちゃんが帰ってくるの待ってたの。ご飯できてるわよ」 「おお、やっと帰ってきたか朱音ちゃん! もう腹が減って死にそうで、危うくつまみ食いしてしまうところだったぞ!」  二人は息が合ったように、別々のことを、口をそろえて言った。 ***  母の翔子(しょうこ)と父の翔太(しょうた)。  名前が一字違いというだけで意気投合し結婚にこぎつけた、近所では名の知れたおしどり夫婦。  私は二人が19歳の時にできた子供で、二人はまだ34歳と若い。 ***
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