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血の味が広がる。
血ってこんな味だったんだ。アディクトはいつも、こんな味のモノを飲んでるんだ。
マリアホリックを患っていない岬には、ただの鉄の味がする液体だ。
そのはずだった。
なのに、どこか甘くて切ない味がした。
――ホリックだから。
僕は愛に飢えてしまったアディクトだから。
だから、だから。
好きな人の体は、蜜みたいに甘いんだ――……
「……はぁ」
息を吐く。
唇が離れたその瞬間、ばっ、と笹原は岬の束縛を振り払った。
「っ」
身構えた、次の一瞬だった。
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