3章

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「鏡也に好きだって言われました」  笹原は目を見張った。  告白され、口づけられ、そしてそれに答え、応え、自ら口づけた。  さっきのような激しいキスではなかったけれど。 「僕が理解した感情。好きだって言う思い……偽れません。偽らないためにどちらか選ぶべきだと思ったけれど、それもできませんでした」  軽蔑されるのを覚悟で言った。 「僕のやってることは、たぶん、おかしいです。多くの人が許さないと思います。だからののしってもらっていい。さっきの先生の言葉が過去形になってもいい。でも、その前に、一度でいいから聞いてください」  ふわりと風が二人を撫でた。 「あなたの事が、好きです」  岬は月明かりの下で告げた。 「笹原先生、僕はあなたが好きです」
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