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店の外は真っ暗な闇が広がっている。
自動ドアが開き、70前後の男性が店の中に入ってきた。
「「いらっしゃいませ」」
男性の耳に幼い声が2つ入る。
「家に向かって歩いていた筈なのだが、周りが暗くなりすぎて道に迷ってしまった。
暫く休ませて貰って良いかね?」
12~3歳くらいの女の子が椅子を持ってきて、男性に勧める。
「どうぞお座り下さい。
さっき通り過ぎて行った消防車が、鐘を鳴らしながら放送していましたけど、ここら辺一帯、停電になっているらしいですよ。
家の店は自家発電があるので明るいですけど」
「見たところ君と弟さん? の2人しか見当たらないけど、大人の店員さんかご両親はいないの?」
「両親は、停電になった時たまたま来店していた、常連のお爺さんお婆さんを送っていっています。
直ぐ帰ってくると言っていたのですが、渋滞にでも巻き込まれたのか、まだ帰ってこないのです」
そのとき男性は後ろから、幼い声で話しかけられる。
「お爺ちゃん、お風呂入りませんか?」
男性が返事を返す前に、女の子が男の子を叱った。
「お爺ちゃんじゃないでしょ!
お客様って言いなさい」
「イヤイヤお爺ちゃんで構わないよ。
それよりお風呂って?」
「裏に銭湯があるのです。
両親が帰ってくるまで、お風呂に入っておられたらどうですか?
時間潰しになるし、疲れもとれますから」
「うーん…………そうだね、お風呂に入らせてもらおうか」
「僕、背中流します」
男性は男の子に手を引かれ、銭湯に向かった。
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