5人が本棚に入れています
本棚に追加
自動ドアが開き、幼い女の子が泣きながら店の中に入ってくる。
「エーンエンエンおがあざ――ん」
女の子に女性店員が駆け寄った。
「どうしたの? 大丈夫? お母さんとはぐれたの?」
女の子は優しく店員に話しかけられて、泣きながら話しだす。
「おがあざんとね、ヒック、おててを、おててをつないでいたのに、グス、おがあざんが、おがあざんがいないの――、ヒック、いなくなっちゃったの、おがあざ――んエ――ン」
女の子の顔と手足それに服は、母親を探している間にあちこちで転んだのか、泥まみれだった。
「分かった!
小母さんも一緒にお母さんを探してあげる」
「グス、ほ、ほんとに? グスグス、いっしょにさがしてくれるの? グス」
「本当に一緒に探してあげる。
でも、顔やお洋服が泥で汚れていて、あなたのお母さんがあなたに気が付かないかも知れないから、先にお風呂に入りましょう」
「おふろに? グス」
「うん、さ、お風呂に行こう」
女性店員は女の子の手を引き銭湯に向かう。
心地よい湯加減の風呂に浸かり、女の子は安心したのか泣き止んだ。
最初のコメントを投稿しよう!