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『その奇妙な店は、大通りを一本入った閑静な住宅街の一角にあった…』
小説家は原稿用紙にそこまでを書くと筆を止め、ふと窓の外に目をやった。
赤と紫、二つの太陽はお互い負けじと陽を照らし、働く事を放棄した大人があちこちで性交を行い、その傍らで子供が殺し合いをしている。
人間を散歩させている犬もいれば、人間に跨がり鞭を叩いている馬がいる。
最近、死神が死んだらしい。閻魔は「ざまあみろ」と笑い、密かに想いを寄せていたヴィーナスは泣いたそうだ。
実は地球は四角くて六つある。地球人は宇宙人と友達で、皆死んだら、通行料を五百円払い、虹の架け橋を渡ってあの世に行くのだ。
その世界に於いて、比較的まともな小説家には、現実以上に『奇妙な』出来事が想像し書けそうになかった…。
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