秋と紅葉と

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頬に触れたその体温に、全身がびくりと震えた。 「いつか、この紅葉みたいにお前の頬を真っ赤に染める事が出来たらな、って。それが自分ならいいのにな、って思ってた」 ーーーーーー。 思わず顔を上げた自分の目には、薄っすらと涙の膜が張っていた。 それを愛し気に親指で拭う篤志が、幸せそうな笑みのまま頬を赤く染めて言う。 「好きだよ。お前が秋で、良かった」 そんな恥ずかしい言葉一つで、自分の名前が秋で良かったのかもしれないと思ってしまう自分はどれだけ単純なのか。 紅葉のように真っ赤に染まった自分の顔を誤魔化したくて、「ばか」と小さく暴言を吐きながら篤志の肩に自分の額を押し付けた。 秋は苦手なだけで、本当は嫌いじゃないんだ。 だから。 今度はさ、あの公園の紅葉を見に行こうよ。 俺とお前の、二人で。
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