そうだ、電子化しよう

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 「銀行に用があるって、強盗目的だったの?」  『そのようデスね。』  「逃走しようとしたのに、目的地を銀行窓口にしたままだったからその場でうろうろするハメになって捕まったってコト?」  『そのようデスね。』  チンッという音がして、レジッタのドロアが開く。  『15分経ったので、返却されマシタ。』  「悪そうな人には見えなかったんだけどなぁ。」  導きの方位磁石の試供品を取り出し、悲しげな顔で紗知はため息をついた。  「レジ太、前々から思ってたんだけど……」  『なんでショウ?』  「電子化しない? 色々と。」  『例えば?』  「バックルームの膨大な数の本とか、」  『ほうほう』  「厚くて重い商品カタログとか、」  『ハイハイ』  「現金一括払いってのも、電子マネー対応にするとか、せめてATM置くとか。」  『なるほどなるほど。デ、紗知サンはそれが出来るんデスか?』  「えっ? 出来ないけど。」  『ワタクシが作られたのは、遥か昔。そして、開発者はすでにこの世におりまセン。つまり、新しいシステムを取り入れようとするナラ、店長サンがどうにかするしかな……』  「さぁて、本日の営業も終了しました。くじを引いて、明日に備えましょう!」      商品も陳列棚もない、開店前のようなコンビニがある日突然現れたら、それは伝説のコンビニかも知れません。
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