招かざる客

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パーティ当日はイザリ屋から持ってきたパンを食べて疲れを取り、用意していたグミやスナック菓子を姫と食べて寛いでいた。 「酸っぱくて美味しい!ここにもグミはあるけど、こういうの食べた事ない」 「女子はグミが好きだね~、般若もグミのチョイスはしてるのにね」 「……何が言いたいんだい?瑠里」 ササッと逃げる姿はウチの社長を見てる気がしていた。 「ごめんね、せっかく来てくれたのに観光にも連れて行けなくて。でももし…今日で死ぬとしてももういいの、最後に素敵な友達ができたから」 姫というだけあって心も清いのか、私達のような貧乏人でも友達だと言ってくれる。 絶対に私だけは助けろよ、お前らは死んでもいいけどと言われた方が、もっと割り切って仕事が出来た気がした。 「私は友達作らない主義。女子って面倒臭いし噂話に悪口ばっかで、男性の前ではファッションの話に切り替える生物でしょ?でも女性のいい部分も見せてもらったから、あえて言うなら『カリスマ』にしとく」 「ふふっ…瑠里有難う」 姫の笑顔を見ていると、諦めたような覚悟を決めたような表情だが、今夜のパーティに行かないとは言わなそうだ。 「ばあやに次の新作の香水のレシピも渡したし、未来の旦那にひと目会ったら、思い残す事はない」 「可愛い顔して勿体ない事言ってんじゃないよ!その顔なら男なんていくらでも騙せるだろ?」 「そうだよ、金持ちの王子から金巻き上げて一文無しになってから、次に乗換えを繰り返す作戦だってある」 「瑠里……そこまでは言ってない」 この城の人は皆親切だったし、姫もばあやも種族とか関係なく接してくれた。 貧乏な私達が持つ劣等感や、後ろめたさを感じてる暇もないくらい居心地もよかった。 こういう仙人的な心の持ち主は幸せにならないといけない人達で、社長や金刺繍も仕事は真面目なのできっと命は守ってくれる筈だ。 たとえ恋は上手くいかなかったとしても、生きて帰してあげようと腹は括っていた。 夕食を軽く済ませパーティの支度を始めたが、リップは早々に終わり、私のウィッグをつけるサポートに入ってくれ『偽リップ』も完成した。
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