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「王子……今狩る気だったくない?」
「私もそう感じた。狩猟本能なのかな?ソフィー震えてたよね」
リップがドアから戻って来たので、口を塞ぐと満足そうに私を見てから、着替えを勧めてきた。
言われた通りに着替えたが、黒のショートパンツにオーバーニーソックス、ベストにブラウスと普段私が絶対に着ないと思われる格好だ。
「可愛いね~、後は耳だけど白とライトグレーどっちがいい?気分でカラリングしてるけど…」
「般若といえば白!」
妹の一声で白に決まり、カラコンはブルーにされコスプレの作業は終わった。
イナリは着ぐるみのような白のモフモフしたつなぎで、耳付きのフードまでついていて邪魔そうだ。
「ププッ!イナリ可愛いけどなんか気品があるね」
サイズが小さくなったのもあり、ぬいぐるみみたいに思えるが、育ちの良さが見え隠れしていた。
「念の為、流行りのハットを被ればリップの出来上がりぃ~!」
黒のハットだが、耳の部分はきちんと収まるように穴が開いている。
このままハロウィンの会場に行っても、違和感は全くなさそうだった。
「じゃあ、これで出かけられるね」
「えっ、この格好で?」
黒のドレスに身を包んだばあやが、小さいバッグにビデオらしき物を準備している。
「私達は今からスイーツ会で、姫と瑠里は二人でスイーツや料理を楽しんで居てもらいましょう」
部屋にワゴンでホールケーキや料理が運ばれている。
瑠里の目はキラリと輝き、こちらに素早く手を振っている所をみると食べる気満々だ。
「私も食べたいな……」
「百合は会場で食べたらいい、くれぐれも姫という事は意識して下さいね」
背中を押され部屋から出ると、女装をした赤刺繍が見張りをしてくれている。
裏口から出ようとした時、グリーンのドレスに身を包んだ八雲さんが同じように耳を付け、ハットを被った姿で待っていた。
「リップの友達という事で参加します、やっぱり本物の女性は可愛いですね」
私なんかよりずっと綺麗に見えたが、ばあやと八雲さんと私は準備された車で会場に向かった。
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