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ばあやは『相手にしなくていい』という目でこちらを見てから録画の続きを撮っている。
私は次のケーキを皿に乗せると、無視してイナリに渡してあげた。
「もう沢山連絡先交換しましたわよ?ソフィーごきげんよう、貴女の飼い主はいい殿方見つけたのかしら」
スルーしても強引に話しかけてくるのがイヤミ女の特権だ。
自画自賛して勝手に去ってゆくがよいと黙って話を聞いてやる。
「ちょっと、さっきから食べてばっかりで何とかいいなさいよ」
一人で話しているのが気に入らないのか、面倒な女は更に相槌を求めてきた。
八雲さんが話しかけようとしたが、口なら負けない私はもう言葉が出てしまっていた。
「えっ何?よく聞こえなかったぁ~、だってこれスイーツ会なんでしょ?男アサる前に準備してくれた職人さんに敬意を払うんじゃなあい、普通」
「出遅れたからって負け惜しみ言わないでよ!」
カッとなって言い返すパームに、帽子を目深に被りニヤリ笑って追い打ちをかける。
「出遅れとか関係ないしぃ、食べたい物我慢する女って男ウケいいの?私は美味しそうに食べる人好きって殿方探したいな」
「なによ、今日は生意気…」
パームに怒りスイッチが入ろうとしたが、ハッとして動きが止まるとABを引きつれて何処かへ行ってしまった。
「フン腰抜けが、耳引きちぎって鍋にするぞ」
「向こうに行ってくれて助かりました、そこまでいうともう姫じゃない事バレますからね、でも…アイツらは」
八雲さんに言われてパームが行った方向を見ると、ちょっと悪そうな顔だが、イケメンで耳が生えている男性二人組がいた。
「何人間ですかあれ?」
兎同様、見た目が私達と変わらないが耳の種類が違うのだけは分かる。
「あれが狼人間ですよ」
「い――っ!?」
凱みたいなルックスを予想していたのに、まさかこんなに人に近いとは夢にも思っていなかった。
「黒のスーツがモロで狼人間のトップ、隣にいるのが手下のハバナです」
急に緊張してきて双棒に手を伸ばしたが、さすがにここで動くと被害が大きくなるだけだ。
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