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「あーっはっは、これは愉快さすがプロは違うね~」
感心するならまだしも、笑われているのは納得いかなかったが、イナリの芝居魂はドラム缶の影響だと思われた。
「針金…強力になってますね、何だか妬けてきますよ」
「お世辞のつもりですか?似合いませんよ」
狼人間に姫が狙われているのは分かったが、何となく引っかかる気持ちでシートに背中を預けた。
城に着くと女装した見張りに変わった様子がなくてホッとした。
「着替えて晩御飯を食べた頃、一旦社長達と合流するので、百合さんは出かける準備をしておいて下さい」
「分かりました」
部屋に入ると二人はバランスボールに座って、ダイエットDVDを見ながら真似をしていた。
「おかえりー」
振り向いた瑠里はパックシートをしていて、姫もお揃いでスッカリ仲がよくなってる様子。
「二人共……不気味なんだけど、男性には見せられない姿だね」
「美を保つには陰ながら努力が必要なんだよ?百合も早くお風呂入ってくれば?」
シャワー室まで完備されているこの部屋に驚いたが、サッパリするのもいいかもとリュックを持ち素直に従った。
いい香りのボディソープやシャンプーでテンションが上がったが、ズラが取れないので扉を少し開けて姫を呼ぶ。
「リップ~!このズラ取れないの忘れてた~助けて」
笑いながら来てくれたリップは、器用にウィッグを外してくれ、いくつも並んでる瓶を取り出すと、トリートメントに使えと勧めてくれた。
「百合の肌も白いからシャワー後、これを塗ってみて?」
ご丁寧にボディクリームまで選んでくれ、美のカリスマを尊敬の眼差しで見つめた。
髪はツヤツヤ身体はしっとり、イザリ屋のシャンプーもいいがここのも恐らく高級品だ。
家ではドラム缶が選んだ適当なシャンプーなので、将来ハゲる前にいいシャンプーに変えようかなと心を擽られた。
「さっぱりしたぁ身体はスベスベ、やっぱ金持ちはええもん使っとるわ」
「ふふっ、瑠里と同じセリフ言ったぁ」
リップは微笑むと、タオルドライした髪をドライヤ―で当ててくれている。
そんなに時間は経ってないのに、いつもより早く髪が乾いた気がした。
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