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「速乾タオルで拭いたからだよ?長いとどうしても乾くの遅くなるからね」
「凄いよねこの美のカリスマ、もう先生って呼びたい位だよ」
パックを外した瑠里もカリスマに共感しているようだ。
「みんなでご飯食べたら百合もパックする?」
「いや、ちょっと打ち合わせに出かけるから、このままでいいよ」
ピタッと動きを止めたカリスマを見ると、どうやらダメな言葉を発したようだ。
溜め息を出された後、ゆっくりと道具一式を準備される。
「外に出るならスッピンなんて論外だよ?ナチュラルでもメイクはしておかないと」
社長達と会ってさっきの報告と状況の説明を受ける程度なので全くそんな意識はない。
いつも化粧なんかしてないし、格好だってデニムにカットソーだ。
それを口に出したらもっと怒られそうなので黙っておく事にした。
夕食も見た目が可愛く味も良し、この世界の雰囲気のせいか姫気分を味わっていた。
スイーツも美味しいかったし、もうこのまま睡眠時間に突入したいくらいだった。
食事が終わると、リップは編み込みを入れたアレンジの纏め髪を慣れた手つきでしてくれた。
袖がふんわりしているカットソーに、上下繋がったオールインワンで、夜という事もあり色は黒とグレーで落ち着いた雰囲気だ。
「あの…こんな気合入れて行かなくても大丈夫なんだけど」
「控えめだよ?可愛いし…待って!アクセ忘れてた」
私からすればこんな綺麗な格好でどこにデートに行くんですかと言いたい位、カリスマのコ―デは女子力が高すぎた。
ばあやが見ても満足そうに頷かれ、照れながら双棒を入れたベルトを腰に回した。
「で、どこで待ち合わせなんだい?」
場所を言っていいのか迷ったので適当に誤魔化し裏口を出ると、スマホで社長に連絡したが応答ナシ。
もう帰ってやろうかとも思ったが、念の為イザリ屋の受付に連絡すると、キビキビした声でタクシーを手配しますと切電された。
「初めから用意してくれたらいいのに!レディを夜歩かせるなんて気が利かない連中だよ」
三分ほどでタクシーが裏口に着き、『バニーウーマンまで』と伝えて窓の外を見ていた。
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