兎姫と狼人間

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同じチームでポッチャリ体型の啄もグッズも買ってるオタク体質だが、ここまでは影響されていない。 「お主ら、ちょっと休憩にせぬか」 ドアからキツネ…いや社長が顔を覗かせると、私も瑠里も急に現実に戻った気がした。 後ろからリーダーも入って来たが、恐らく自主トレの最中にキツネに呼ばれたんだろうと想像がつく。 「みんな真面目で嬉しい事じゃわ、悟や月影姉妹は休みの日も必ずトレーニングに顔を出す」 皆の分のコーヒーとパンを準備しながら、社長は目を細めて嬉しそうな表情だ。 「真面目ついでと言ってはなんじゃが……」 「ーー断ります!」 最後まで言わせない内に姉妹で声を揃えて遮った。 「まだ何も言ってないよ?何でもう分かってんの?」 「社長が顔を出すとロクな事がない位、いくら馬鹿な私達とはいえ学習します」 「悟、頼りになるのはお前じゃ。姉妹を説得出来るかもしれん、なんせリーダーだから」 リーダーは無言でジャムパンを頬張り、素知らぬ顔をしていた。 「内容だけでも聞いて?」 私達は無言でパンを食べながら、泣きそうな顔の社長をチラ見してコーヒーを飲んだ。 「今、兎の世界で次々と死者が出ておる…」 社長は物語調で話し始め、無理矢理付き合わされる羽目になっている。 昔のいい伝えで『兎を食らうと永遠の命』というのがあり、迷信だがそれを信じている頭のおかしな輩が犯人。 住人は私達と姿は変わらず、耳が生えているのが特徴で、いつも執行している昆虫類の世界の者達とは違うらしい。 兎の世界は可愛いので観光客も多く、スイーツも沢山あり注目されてるらしいが、輩の狙いは王族の血を引く姫だそうだ。 手当たり次第殺していたが、二日前姫が狙われ護衛についた者も姿を消し、手に負えないと判断されイザリ屋に依頼が入った。 姫というだけあって、親の顔が利くと言ったところだろう。 どちらにしても金持ちというだけで気に入らない、貧乏出には関係なさそうな話に思えた。
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