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招かざる客
城について裏口から部屋に戻ると、皆眠っていると思っていたのに、姫は起きていてテレビをガン見していた。
「百合お帰りなさい、スイーツ会の録画チェックしてたの」
部屋の明かりも付けずに熱心に見ているので、目が悪くなるからもう寝て下さいと注意した。
着替えを済ませて戻ると眠るどころか更に画面を食い入るように見つめている。
「好みの男性でもいました?もう寝ましょうよ」
「百合、私この人がいいかも」
指を差した人物を見ると、嫌な汗が出てきてどう誤魔化そうか頭で考えていた。
「その人は……止めた方がいいかなって思いますよ?」
会場に若者は結構居たのにモロの全身が映っている所で停止ボタンが押されている。
「……あぁ、若い女子にありがちなパターンね、ちょっとワルそうな奴に魅かれるんだよ」
いつの間にか瑠里も画面の前に居たので、呆れたように溜め息をついて部屋の電気をつけた。
「確かにワルなイケメンかもしんないけど、他に候補いないの?」
出来るだけモロから話を逸らしたいので振ってみると、姫は指を頬に当て考え始めた。
「人気があるのは狼と狐。経済も安定してるし、狼の城は剣の強い人が多くて守ってもらえるし、狐も豊かな国だけど…ちょっと顔が可愛い系なんだよね」
「よりによってキツネーー!おススメ出来ないしロクなのいないよ、外面に騙されたらダメだよ!」
「百合……どうしたの?」
思わず力説してしまい驚きながらも、猫はナルシストだとか、他には厳しいご指摘ばかりだった。
「ちょい悪が好きならおススメいるんだけどね。顔は怖くても仕事は真面目だし、アイツは浮気とかしそうにないタイプだよ?」
リーダーの事を言ってるのは分かるが、人間という時点で会う度に姫がリバースする事になる。
「えっそうなの?ちょっと気になるけど、人以外だと嬉しいな」
「私らはただの人間だし、顔も広くないから紹介は絶対に無理だよ」
瑠里がコーヒーを入れてくれ女子会的なトークはしてるが、この度の犯人が狼人間だという事を言おうかどうか迷っていた。
「ばあやには内緒にしといて?清純そうな人が姫にはお似合いって言ってたし、反対されそうだから」
私の表情で瑠里はすぐに状況を把握してくれたようだが、目がハートになりベッドに入る姫に、打ち明ける事は出来なかった。
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