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「何か中途半端で戻って来て申し訳ないな…」
別室でコーヒーとパンを食べながら今までの事を振り返る。
結局モロはリップに好意があっただけで犯人はハバナ。
八雲さんとの一戦では手強かったし、刺繍に色がついてる人はあんなの相手にするのかと凄さを思い知る。
私は怖くて震えてても八雲さんは勇敢に立ち向かっていた。
怪我をしても逃げろと声をかけてくれたのに、すぐに動けずに捕まったまま何も出来ずにいた。
あのまま力が発揮されなかったら、社長達がドアを破る前に皆殺しにされたかもしれない。
「ん?でも朧いたよね、もし殺されそうだったら助けてくれたのかな」
どちらにしても『キツネ』は信用出来ないし、勿論キツネ面のウチの社長も同類の枠で分類している。
「みんな悪魔か死神にしか見えないや」
犬人間の凱、狐人間の朧、鎌イタチ人間の芭流。
あんなクラスが敵になったら今のレベルでは到底勝てないし、もっと強くならないといけない。
仕事は無事に終わったが、いつもブルー気持ちを背負って帰った感じだ。
「なにシケた面してんの?」
顔の擦り傷が綺麗に治っていつもの瑠里に戻っている。
「良かった瑠里、顔ごと地面に擦ってたもんね」
「ホントだよあの狼、アイツだけは絶対に忘れないよ。最後に手裏剣投げたのは執念だったから、少し感謝もするけどね」
やはり蛇というか、大蛇と呼ばれる瑠里を怒らせてはいけないと再度認識した。
「姉さんまた、魔王になってたよ?なんかグレードアップされてた」
「でも初めは怖くて動けなかったし、あのまま八雲さんがいなければ殺されてたよ」
「無色なんだから当たり前だよ、私らもその内強くなるって。因みにばあやに頼んでモロの連絡先は聞いて姫に渡った筈だよ」
さすが瑠里だけあってそういう所に抜かりがない。
「瑠里先生は完璧だね、実はリップの事も気になってて」
「ふふん、あとは若いもんに任せておけばいいだろうよ」
カレーパンを食べ、コーヒーを啜る瑠里先生を尊敬の眼差しで見つめていた。
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