招かざる客

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「一人で行くのは心細いじゃろ?偶然ワシも明日はオフじゃ、連れて……」 「僕が行きますよ、無色チームは休みだし、百合さんは危険な事に巻き込まれたりするから」 優しい和音さんが社長の言葉を遮ると、リーダーも声をかけてくれた。 「俺は借りもあるし、ついでに兎の女子レベルも確認する」 この中で私の心配をしてくれているのは和音さんだけだと分かっていても、姫の所に行くのは難関がある。 「無理ですよみんな男性なんですから。姫がリバースするだけですし一人で行きます、チャチャッとお礼貰って帰りますから」 普段なら断るところだが途中で帰ってしまい、お世話になったばあやにも挨拶をしておきたかったので、一人で行く事にした。 帰りにコンビニで青りんごのグミを大量に買い、明日の草刈り用に食料を調達していた母にも、連絡をしてグミを頼んだ。 紙袋二つ分グミを詰めて明日の準備は完成した。 『リップ喜んでくれるといいな』 大した土産ではないが、嬉しそうに食べていた顔を思い出しベッドに潜った。 翌朝、早々とおにぎりを作りを開始している母は、戦の前と言わんばかりに気合をいれ食べ物を準備をしている。 「だから…作り過ぎだって」 瞼を擦りながらリビングに入って注意すると、熱中症には塩の効いたおにぎりと水分だと、いい訳をしながら何個か頬張っている。 瑠里も叩き起こされて、顔を洗うと日焼け防止の為にクリームを顔や首に入念に塗っている。 ハッキリ言って『白お化け』にしか見えない。 ドラム缶と眠たそうな白お化けとイナリは、夜明けと共に草刈りの戦場に向かってしまった。 私ものんびりと支度をして、時代劇を見てから職場に歩いて行った。 受付の木村さんにグミをチェックしてもらうと、手招きをされたので部屋に入る。 「姫に会いに行くからこっちも準備しておいたよ」 着物に袴が揃えてあり着付けをされながら『そんな畏まった感じじゃないのに』と思いつつ、逆らう事は出来ず終わるまでジッとしていた。 「よし、これで完成」 和風の姫が出来上がったが、髪はアップにしていてつけまつ毛もバッチリとついている。 「前帰った時に近いメイクにしたけど、カラコンもつける?」 「大丈夫です……」 綺麗に変身すると双棒とバック、グミを手にパネル部屋の扉を潜った。
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