招かざる客

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待ち合わせ場所にばあやが迎えに来ている筈だ。 車を探し見回していると、ばあやが手を振りながら小走りに近づいてくれた。 「百合~!元気そうで安心したよ、早く車に乗りな」 「ばあやも元気そうで良かったぁ、これ姫に…」 最後までいう前に車に乗せられ、グミを持ったまま何を急いているのか不思議に思った。 「ばあや、どうしたんですか?」 「今日は姫の誕生日会で、第一の部は終わって第二の部が始まってる所でね、抜け出して来るのが大変だったんですよ」 「え――っ!」 プレゼントも準備してないし、イベントが苦手な貧乏人は急にソワソワし始めた。 「大丈夫、裏から入って適当に美味しい物つまんだらいいよ。姫はモロとラブトーク中だし、百合達にバースディケーキを食べて貰いたいのが目的だから」 兎の世界のバースディケーキは友達に食べてもらうのが恒例で、私達を招待したのもどうやらそれ絡みらしい。 「瑠里の……持ち帰りしてもいいですか?」 振り返ったばあやはニッコリと微笑み「たんと持って帰りな」と親指を上げた。 以前と同じく調理場から入り、初めて城の表側を見たが、遊園地みたいに広くて姫が何処にいるか全く分からない。 ばあやに案内してもらって庭に出ると、多くの人で賑わっており、姫は小高い場所でモロと二人で並んでいるのが見えた。 邪魔しても悪いのでグミの袋を地面に置くと、料理と飲み物をキープして空いてるベンチに座る事にした。 皿に一杯に盛り飲み物を持つと両手が塞がり、一旦ベンチに置いてからグミを取りに行く作戦に変更する。 振り向くとグミの袋を持ち運んでくれる人がいたのでお礼を言いかけると、例の食いしん坊王子が笑顔でベンチの横に置いてくれた。 「やっぱり会えました、ねっ、じいや」 「すみません、こんなに土産を頂いてしまって」 「いや、それ姫に持って来たんですけど」 今日は社長も居ないし瑠里も居ない。 諦めたようにベンチに座りケーキを頬張ると、王子とじいやが私を挟んで座り、何事もないようにケーキを口にしていた。 二度目のパンプキンケーキも誰と何処で食べようがやっぱり美味しかった。
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