兎姫と狼人間

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「よし皆揃うとるの、姫の名前はリップで付き添いのばあさんはクッキー。入り口までは八雲が案内するが、そこからは別行動になる」 説明を始める社長は心なしかウキウキしているように見え、何となくイラついていた。 「姫は城の地下の専用部屋で今は過ごしておるが、百合さん達が行ってもそれは同じ。城の者と姿を会わす事はない影の仕事だが、城の中には事前に伝わっておるので安心して欲しい」 地下に閉じこもっているなら、外に八雲さんが張り込んで監視しておけばいいのにと疑問も浮かんできた。 「あと言い忘れておったが、最初の外出はナントカパーティで、これだけは外せんと言われておる。将来の相手を見つける下見で重要らしいが……」 「待てや!姫がそんなもんに出かけるなんて、こっちは聞いてねーんだよ!」 「姫じゃない、百合さん達のどちらかになる…あっ、ママリン新幹線に乗ったってぇ」 グッと堪え、ギラギラした目つきで社長を見ると、瑠里も隣で額に『殺』と書かれているように見えた。 回りが何となくザワついているのでギロリと睨むと、女装連中も背筋を伸ばして視線を逸らした。 「まぁ百合ちゃん、行く前から般若出されても、みんなビビるから。顔だけじゃなくて本当に怖いから女性達に配慮してくれる?」 「上のランクだろ?この中で誰かがついてるもん取ってくれたら、私ら行かんで済んだだろうが」 「みんな美形で女性の動きは研究してるけど、女性として生きたい人はまだ居ないからごめんね~」 私達の怒りはよそに、一番落ち着きを払っているのはイナリだった。 「後は姫に色々聞いてくれるかな、脅したらダメだよ」 イナリにチーズたらをあげ、社長が部屋を出るとみんなパネル部屋を目指して歩いて行く。 回りの視線が気になるが、イケメン集団だからって調子に乗んなよと睨み返しておいた。
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