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「で?どっちが代わりをしてくれるの?」
リップが腰に手を当てて品定めをするように私達を交互に見ている。
「私は遠慮しとくよ、顔は可愛くて胸ありますよ自慢されたってないから無理だし」
「私だってやだよ、カラコンとかギャルじゃん、ウサ耳つけるのも恥ずかしい」
「私達の種族敵に回してんの?それに胸ってどこ見てんのよ、そんなとこよりこのフワッと伸びた耳が自慢なんだから」
耳を触っている姿を見ても人間には全くピンとこないし、感性というか価値観の違いだ。
リュックからチーズたらを取り出してイナリにあげていると、リップは気に入らない様子でクレームを出した。
「ばあや、凄く失礼で感じ悪いんだけど!?こんなんでスイーツ会行かれたらパームに馬鹿にされる」
「ご安心を。ばあやも付き添って会場を録画しておきます、殿方をすべて撮りますのでゆっくり下見をされたらいい」
やる気のない私達を立ちあがらせ、色んな角度からチェックされた後、ばあやに手を取られたのは私だった。
「百合ならパットじゃなくボリュームブラでイケますし、髪も長いし目もクリっとしている。この二人は磨けば光ります」
「余計なお世話!私は胸がないからパット代かかるとでも?気分悪いんだよ!」
「言葉が荒いね、代役2で使う時に困るから、もっと可愛く話す練習しときな」
私がやられた時の事まで考えてるばあやは、冷酷な鬼に見えた。
「イナリはソフィーの代わりが出来そうですよ?今は服を着せるのが流行ってるから上手く誤魔化せます」
「あの、スイーツ会なんて出てる場合じゃないでしょ?狙われてるんですよ」
リップは私の近くで自分の耳を撫でながら自慢げに言った。
「私の身体を狙ってる者がいるんでしょ?可愛いし、香水のプロデュースまでしてるから魅力的なんでしょうけど」
「いや…身体は狙ってるけど食料としてだよ、腕引きちぎって頭を出汁に使って料理にされるんだよ」
「瑠里酷い!ちょっと胸がないからって、もう少しソフトに言えない?」
二人が揉めている間、私はばあやにウィッグを付けられたりメイクをされ着せ替え人形の状態だ。
「このズラ取れないんですね……」
ちょっと引っ張ってみたが、自毛を編み込んでいくタイプでよくできた物だった。
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