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「とっても素敵でした。上下紺色で凛々しくて」
「善葵も同じだろ」
「善ちゃんとはまた違います。なんていうか……存在感が」
繋いでいない人さし指を顎にあて、思い出す様な素振りをするゆずを見下ろした。
善葵は母親似だが、ゆずはどことなく父親に似ている。
野球が趣味だという会社員の父は意外に穏やかで、「柚葵にこんな立派な彼がいたとは」と素直に驚いていた。
たまにパートに出るという母は「どうして隠してたの?」と不思議がっていたが、善葵に「部下に手を出しました。なんて言えねぇだろ」と言われて、なるほど。と納得していた。
『平凡』を絵に描いて『幸せ』で色付けしたようなごくごく普通の家族。
それが俺の第一印象だった。
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