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“同い年だ。よかったらはなそ。”
こんな言葉から始まる恋だってある。
ー梅雨独特の重たい雲が頭をもたげる6月のある日曜日。空を見上げて私は一人ため息をついた。
ー大学生って、こんなんだっけー
このごろそんなことしか考えてない。
人並みに受験して、国立大学の医学部の看護学生になった。勉強して、サークル入って、友達作って、楽しく遊んで、
そんな毎日を思い描いていた。
だけど現実はそうもいかなくて。
思ったより勉強は忙しくて、実家から2時間近くかけて学校に通っていた私にはサークルに入る余裕もない。
ただ毎日なんとなく講義を受けて、なんとなく日々を過ごしていた。
しかも看護の専攻には男の子が一人もいなかった。あまーい恋愛になんてなるはずもなく。ほんとにぼんやりしていた。
平日は忙しくしていても、土日はなんにもなくて孤独を感じる。
特に梅雨の空気の重さと匂いは、私の心に余計に影を落とすのだった。
そんなとき、あまりにも孤独すぎて、誰かと繋がりたくてインストールした1つのチャットアプリ。
ここから私の毎日が少しずつ変わり始める。
だいたい予想はついていたが、チャットアプリで話しかけてくるのは大抵変な人ばかり。それでも中には楽しくお話できる人もいた。数少ないその人たちと暇なときに適当な会話をして気を紛らわせていた。
“同い年だ。よかったらはなそ。”
私と同い年のその人は、そうやってありきたりな声をかけてきた。
こういうタイプの人、話しても面白くないんだよな…
そう思いつつ、
“あ、同い年なんだ。こちらこそよろしくー”
と、これまたありきたりな返信をした。
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