月夜の小鳥は哀切な嘘をつく。1

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背負いベルトを掴みっぱなしの手の平が、汗をかいていた。 『なかよくするよ』と言ってくれた言葉は、本気なのだろうか? もしかするとあの子達への売り言葉に買い言葉で、冗談だよと笑い飛ばされてしまうかもしれない。 でも、今言わないときっと後悔すると思うから。 真祝は思い切り深呼吸すると、「あのね! 」と勢いをつけた。 「ともだちになりたい! 」 「え?」 「あ…… 」 主語も何もかもすっ飛ばして、いきなり本題を言ってしまったことに自分でも唖然としてしまう。 けれど、二海人は真祝のことを笑いもせずに頷いてくれた。 「うん、いいよ。だけど、オレたち、まえからともだちだろ? 」 差し出される手に戸惑う。 それは、今までと変わらず、ただのクラスメイトでいるということだろうか。 そんなのは、嫌だった。 真祝はもっと二海人の近くに行きたかった。 「ちがうんだ、ぼくは…… 」 「だからさ、オレたち、ともだちいじょうの《とくべつなともだち》になろう 」
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