月夜の小鳥は哀切な嘘をつく。1

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「いて……っ 」 「お前な、俺がβ(ベータ)だからいいようなものの、αだったらシャレにならないぞ 」 「……そんなんじゃ、ない 」 欲しくて、二海人のスラックスの前立てに手を伸ばそうとすると、触れる寸前で手を掴まれた。 「止めろよ 」 触らなくても伝わる熱に、真祝はゴクリと喉を鳴らす。 いくら二海人がβだといったって、αのヒート程ではなくても、発情期のΩのフェロモンにはあてられていない筈はなかった。  本当に、どうしてこんなにαよりもαらしい男がβなんだろう。 未だに、何かの間違いとしか思えない。 けれど、検査は国の機関で行っていることで、検査の結果が誤っているということは100%有り得ないことだった。 制止する手を振り払い、既に大きくなっている二海人自身を握ると、二海人がグッと呻いて真祝の手を振り払う。 「だから、止めろって 」 「二海人だって勃ってんじゃん。 俺がいいって言ってるのに、何で我慢するの? 」 二海人が溜息を吐きながら、頭を振った。
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