6.

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「ポンポン、だって…… 」 はぁはぁと浅い呼吸を繰り返しながら、思わず呟いた。 そんな他愛の無いことでも、二海人にされると気持ちがほわんとなる。 やっぱり好きだ、どうしたって好きなのだ。こんな想いを恋と言わないのなら、他に何というのか教えて欲しい。 「うわっ……!?」 ぽうっとなりながら、そっと触られた所に手をやると、髪が色々な液体でガビガビになっているのに気付いた。 どうしよう……。 俺、臭いし、汚いのに。  だから、家に着くなり直ぐに、お風呂の用意をしてくれたんだ。恥ずかしさと申し訳なさに穴があったら入りたい。 だけど、こんな汚れた自分を、ニ海人は構わずに抱き上げて、自分の家まで連れてきてくれた。 真祝は、掛けて貰った毛布を頭から被った。 途端、普段使っているだろう毛布から二海人の匂いがして、恋しさに胸が締め付けられる。 苦しい、心も身体も。 ぶるっと寒くもないのに身体が震える。真祝は折り曲げた膝を抱えた。
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