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何とか服を着て、怠い身体で壁を伝い、支えながらリビングに戻った。二海人の姿はない。真祝は、いつものソファーに倒れ込むように横になった。
「どこにいったの? はやく……、かえってきてよ、ふみと…… 」
大丈夫なこと、確認させて欲しい。心と身体がバラバラだなんて、そんなこと絶対に無いって。
安心出来る二海人の部屋で感情が緩んだのか、視界がだんだん歪んでくる。
バカって、いつもみたいに言ってよ。番にされたことなんて、大したことじゃないって言ってよ……。
ぐしっ……と洟を啜った時だった。カチャリと玄関のドアが開く音がした。慌てて、涙を手で拭き、身体を起こす。
「随分、遅かったじゃ…… 」
しかし言い掛けた言葉は、顔を上げた瞬間、驚きと怖れで立ち消えた。
「なん、で……? 」
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