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コクンと喉奥が鳴る音が、静かな部屋に響いた気がした。
「何でとはご挨拶ですね。こんな所に居るなんて、どうしてかこっちが聞きたい位ですよ 」
呆れた様な吐息。乱れた髪をかき上げて、ここに居る筈の無い男は、「……いいコで家にいなさいと、言ったでしょう 」と怒りを秘めた声で言った。
オクターブ下げた低い声に、身体がビクリと震える。
「お、お前に関係ない…… 」
鋭い視線に耐えられなくて、ふいっと横を向く。
もう、頭の中がぐちゃぐちゃだった。
どうして? 何で? ーーー答えなんか1つしかないのに、何度も何度も同じ問いが頭を巡る。
「そんなことを言うなんて、……悪いコですね 」
ふっと、央翔が微笑った気がした。
「悪いコには、お仕置きが必要だ 」
久我 央翔は、もうαの本性を隠そうともしなかった。
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