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もう、どうでもいいと思いながら、されるがままに、口付けを許す。だけど……。
だけど、騙し打ちみたいに、優しくしておいて突き落とすなら、いくら二海人だって許さない。絶対に。
「ここで、するの……か? 」
「貴方はこの部屋で、僕に抱かれるのはお嫌でしょうね 」
好きだと言う、その男の生活する部屋で。
「でも、だからこそ抱きたい 」と言う男の首に、真祝はするりと腕を絡めた。
「……いいぜ 」
央翔の瞳が、分かる程に見開かれる。
「真祝さん…… 」
「俺のこと、愛してくれるんだろ? 」
口元に微笑みを乗せてそう言えば、力強く抱き締められた。
「そんなの、もう……、もうとっくに愛してんですよ! 」
央翔の腕の中に閉じ込められるように抱かれて、真祝はその背中に手をまわす。央翔の身体がビクンと揺れた。
「もう、逃げないで。お願いだ 」
だけど、その縋るような言葉に返事はしない。抱き締められながら、真祝はその後ろの白い壁を睨むように見つめていた。
俺は絶対に許さない。お前もだ……。
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