6.

23/39
前へ
/329ページ
次へ
もう、どうでもいいと思いながら、されるがままに、口付けを許す。だけど……。 だけど、騙し打ちみたいに、優しくしておいて突き落とすなら、いくら二海人だって許さない。絶対に。 「ここで、するの……か? 」 「貴方はこの部屋で、僕に抱かれるのはお嫌でしょうね 」 好きだと言う、その男の生活する部屋で。 「でも、だからこそ抱きたい 」と言う男の首に、真祝はするりと腕を絡めた。 「……いいぜ 」 央翔の瞳が、分かる程に見開かれる。 「真祝さん…… 」 「俺のこと、愛してくれるんだろ? 」 口元に微笑みを乗せてそう言えば、力強く抱き締められた。 「そんなの、もう……、もうとっくに愛してんですよ! 」 央翔の腕の中に閉じ込められるように抱かれて、真祝はその背中に手をまわす。央翔の身体がビクンと揺れた。 「もう、逃げないで。お願いだ 」 だけど、その縋るような言葉に返事はしない。抱き締められながら、真祝はその後ろの白い壁を睨むように見つめていた。 俺は絶対に許さない。お前もだ……。
/329ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2826人が本棚に入れています
本棚に追加