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そうだ、と央翔は思う。言葉にしたら、すとんと胸に落ちた想いが決意となった。
「例え、父や母に反対されても、誰かに許されなくても…… 」
意識の無い真祝の、熱でうっすらと汗ばんだ額にキスをする。
「それが、真祝さん本人であっても……だ 」
最中に違う男の名前を聞きたくなくて、何度もその口唇を自分の口唇で塞いだ。カラダは丸ごと明け渡すのに、どうして心は微塵たりともくれないのか……。
柔らかい口唇の感触を思い出しながら、引き攣れる胸の苦しさに奥歯を噛んだ。
すると、「……部屋は客室ではなく、央翔様の寝室の方が宜しいですね 」と突然言われて、央翔は顔を上げる。
「久我家の跡取りである貴方様がそんなお顔をなさらないで下さい。央翔様が本気で決められたことに、私が口出しすることなどございませんよ」
「富樫…… 」
「央翔様の奥方になられる方ですからね。私もその様に心しておきます」
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