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パシッ……。
部屋に乾いた音が、部屋に響いた。
「?!」
驚いた表情の央翔が、叩かれた手を自分に戻す。
「触、るな…… 」
思い出した、ここは久我の屋敷だ。この夜に起きた出来事を一気に思い出し、真祝はズキンと痛む蟀谷を押さえた。
「……っ 」
「真祝さん……っ 」
心配そうに近付いた央翔に、「触るなって、言ってんだろ! 」と真祝が制す。けれど、央翔は構わずに真祝を抱き締めてきた。
「離せよ……っ 」
央翔が腕の中でもがく真祝に、「暴れないで 」と囁く。
「心配したんです、すごく 」
その柔らかい優しい声に、鼻の奥がツンと痛くなった。
「全部、お前のせい……だ 」
細く見えるくせに、思ったよりも逞しい胸を、効かないと分かっていながら拳で叩く。
「お前が、お前が俺の前に現れなきゃ、こんなことには…… 」
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