月夜の小鳥は哀切な嘘をつく。1

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いつもの自分だったら、幾ら発情期とはいえども、絶対にこんなことはしない。 けれど、あんな昔の夢を見たからか、自分を制御出来ない。 だって、これじゃああんまりにも、自分が可哀想だ。 こんなに好きなのに、ずっとずっと好きなのに。 この時の真祝は、2人が友達でさえ居られなくなってしまうとか、そんなことを考える余裕も無かった。 固く閉じられた合わせ目を辿るように舐めると、二海人に両肩を掴まれるが、真祝は引き離されまいと必死でその首にすがり付く。 ずっと、ずっとしたかった二海人とのキス。 もっと欲しい、欲しい、欲しいっ……! だけど二海人の心と同じように開かれない口唇に、これ以上どうすればよいのか分からない。 もどかしさに身を捩れば、大腿部に固いものが当たった。 途端、ビクッと二海人の体が揺れたかと思うと、それがスイッチだったのか、いきなり腰を攫うように抱き寄せられる。 密着したお互いの欲望が重なるゴリッとした感触に、下腹部の深い場所が悦びで切なくなる。 トロリとした甘酸っぱい蜜が溜まっていく感覚に、小さく声が漏れた。
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