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けれど、央翔は言う。
「そんなこと、分かりません。運命の番じゃない貴方なんて、俺は知りませんから 」
真祝さんだって、同じでしょう?ーーーと言われて、グッと言葉が詰まり何も言えなくなる。
確かにそうだ、俺はコイツと会う前から、コイツの落として行ったジャケットの匂いだけで発情させられたのだから。そんな風にさせられてしまうのは、運命の番だったからだ。
そして、央翔は夢見るように続けた。
「貴方に会う前から、貴方が俺の家に残した残り香で、貴方が俺の運命だと分かりました…… 」
ふと、央翔が考え込む表情を見せ、「あぁ 」と呟いた。
「やっぱり、最初から分かっていたんです。貴方と初めて電話で話したあの時、いつまでも貴方の声を聞いていたいと思った。鈴の柔らかい音色のように、とても心地良く耳に響いていた。だから、とても納得したんです。あの時厳しいことを言われていたのに、頬の緩みが止まらなかった事も 」
「……っ! そこからかよっ 」
けれど、入れたツッコミはさらりと受け流された。
「そうですよ。本能だろうが何だろうが、声を聞いた時から、出逢った時から、俺は真祝さんを愛してるんです 」
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