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その朝、何日かぶりに、真祝はすっきりとした頭で目覚めた。
……発情期、終わった?
もそりと、気だるい身体を起こして隣を確かめると、央翔がまだ眠っていた。整った顔に掛かる明るい色の髪が、窓から差す朝陽を受けて煌めいている。
「……綺麗な顔してるよなぁ 」
俺だけじゃない、きっと誰もが見惚れる。しかし、こんなキラキラした美形のくせに、俺が発情期の時には、毎晩、力強く抱くのだ。愛していると、何度も耳許で囁きながら。
一緒にいると言ってから、1年が経とうとしている。けれど、自分はまだその言葉に返事をすることは出来ない。
真祝がベッドから立ち上がろうとすると、腕を取られた。
「……央翔?!」
そのまま、ベッドに引き込まれ、後ろから逞しい腕を巻き付ける様に抱き締められる。
「もう、起きたんですか? 」
「おい、ちょっと…… 」
くん、と、項に顔を埋めて、耳の後ろの辺りの匂いを嗅ぐ。
「……治まったみたいですね 」
「あ、あぁ、今回も助かったよ。ありがとな 」
発情期は治まったというのに、番の、央翔の匂いが近くて、胸の辺りがざわざわとする。その腕から逃げ出そうと、もぞと動けば、「まだ、早いですよ 」と央翔の腕が、力をきゅっと強くした。
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