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『早い』の意味は、起きるのが早いなのか、発情期が終わってしまうのが早いなのか……。 「今日、もう家に帰るんですか? 」 「そりゃ、そうだよ。発情期終わったのに、いつまでも世話にはなれないだろ 」 「……ずっと、ここに居ればいいのに 」 ぐりぐりと背中に擦りつけてくる頭を、クスリと笑って、後ろ手で撫でてやる。 「何だよ、甘えてんのか? 」 「茶化さないで下さい。俺は本気で…… 」 「分かってるよ 」 分かってる、央翔は優しい。俺の気持ちと覚悟を待ってくれているのだろう、一緒に住みたいとは言うものの、それ以上のことは言わない。飲んでいる低用量ピルの服用も、見ない振りをしてくれている。 発情期の時もずっと側に居てくれて、求めるだけ与えられて、央翔の想いに応えられていないのに、気持ちを利用するだけ利用しているみたいで、後ろめたく無いと言ったら嘘になる。央翔は(つがい)なのだから当然だと笑うけれど。 今は仕事を辞めたくない、子どもを産むのも怖い。丸ごと明け渡すには、今まで男として生きてきたプライドが邪魔をする。 「ごめん、これでも努力しようとしてるんだ 」 「そんなこと、努力することじゃあないでしょ」 ちゅっ……と、頬にキスを落とされて、その甘さに身体が熱くなった。 「それに、綺麗なのは真祝さんの方ですよ」 「……っ?! おまっ、聞いてたのか? 」
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