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髪から滴る水に「冷たいぞ 」と言ったら、「すみません 」と謝られた。けれど離れる気はないらしい。 「なぁ、央翔 」 背中に回した手に、ピクッと真祝を包む身体が揺れる。 「お前、俺に正式なプロポーズしてくれんだって? 」 「え…… 」 絶句する央翔の素肌の胸に、「言ってみろよ 」と顔を埋めた。 「今なら聞いてやる 」 「真……祝さ…… 」 抗えきれない(つがい)の香り。この、甘い匂いと空気に身を委ねてしまうのは、何て気持ちが良くて、楽なんだろう。 うっとりと目を瞑りながら、自分の気持ちに拘るのは馬鹿げていることなのかも知れないと、真祝は思った。 「ずっと、避けてたくせに 」 拗ねたように言われて、「しないなら、別にいい 」と返せば、「冗談 」と嬉しそうに笑う。 「俺、こんな格好なのにごめんね。でも、真祝さんの気が変わっちゃったら困るから 」 央翔はそう言うと、スッと一歩下がって真祝の前に(ひざまず)く。
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