月夜の小鳥は哀切な嘘をつく。1

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開かれない筈の口唇がその声を吸い上げて、真祝を捕らえる。 驚いて、だけど嬉しくて、差し出した舌に絡むとろけるような甘さに、じんと身体が痺れた。 合わせを何度も変えて、呼吸さえも奪われる。 こんなこと、今まで無かった。 確かに今回の発情期は辛い気がしていた。 いつもより強いフェロモンに当てられて、二海人の鋼鉄のような理性の糸もブツリと切れてしまったということだろうか。だけど、真祝はそれでもいいと思う。 だって、ずっと夢に見る程願ってたんだ。二海人に抱いて欲しいって。 信じられない状況の中、愛する男に求められるまま無我夢中で応えると、それ以上の熱を与えられた。 いつのまにか忍び込んだ指先が、小さな胸の突起に触れた。 思わず、くん……と喉が鳴る。 口唇を塞がれたまま、そこを摘まれ、捏ねるみたいに弄られると、くすぐったいような、物足りないような快感に甘ったるい吐息が零れた。 芯を持った真祝の身体の中心から溢れた蜜が自身を伝うのを感じて、ゾクリとした背中を反らす。すると、今度は突き出した胸の先に口付けを落とされた。 同時に、スウェットと下着の間にスルリと大きな手が入り込んで来て、濡れた真祝自身を包み込む。
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