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あー、もう何だよコレ。
真祝は、ズイッと左手を前に突き出した。
「……ろ、よ 」
「真祝さん? 」
「いいから、とっとと嵌めろ 」
「いいんですか……? 」
「早くしねぇと、気が変わるかもな 」
「……っ?! 」
ニヤリと笑ってやれば、焦ったように央翔が箱から指輪を取り出す。震える手で薬指に嵌められる、白金の冷たい感触。
「……ピッタリ、だ 」
「当然です 」
まあ、コイツに抜かりは無いだろうが、寝ている時にでも計ったのか?と、聞こうとした時、クシュンと央翔がくしゃみをした。
「風邪、ひくぞ。ちゃんと乾かしてこい 」
「でも…… 」
真祝は、「あー、もう! 」と、央翔の頭をかき回した。
「ちょっ、真祝さ……っ 」
「ちゃんと送られてやるよ。やるから、お前もちゃんと支度して来い! 」
大丈夫、俺はちゃんと幸せになれる。
真祝は、差し当たって、先ずはもうピルを飲むのを止めようと思った。
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