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央翔と似た、キラキラとした美貌。ツンと尖らせた、コーラルピンクの濡れたような口唇の可愛いらしさは、絶対正義だ。
「ごめんね。でも俺も思ってるんだ。アイツ、俺に構い過ぎるよね 」
忙しいくせに、朝と夜の電話は欠かさない。少ないプライベートの時間も、全て真祝にくれようとするし、寂しい思いなんて決してさせない。そして……。
ピロンと、またスマホから通知音が鳴る。
『午後からの仕事頑張れそうです。早く俺の真祝さんに会いたい。愛してます 』
歯の浮くような甘い台詞。受け取ったこちらの方が恥ずかしくなってしまう。
こんなに過保護で甘ったるい性格なのだ。自分と出逢う前はきっと、この目の前に座るお人形の様に愛らしい実妹にその盲愛は向けられていたに違いない。 機嫌が悪くなる気持ちも分かる気がする。
「俺が、君の大事なお兄さんを独り占めしてるみたいで悪いなと思ってる。でも、俺は君からお兄さんを取るつもりはないから 」
チラリと画面を見た京香が、はぁとため息を吐いた。気付いて慌てて隠すが、内容を見られてしまったのは確実だろう。
「あのさ、京香ちゃんが寂しく思ってるなら本当にごめん。俺からもアイツによく言っておくし。そうだ! 今夜の食事、京香ちゃんも一緒に…… 」
「違います。 今のため息は兄へでは無く、真祝さんにですよ 」
「え? 」
「それに、今夜の食事に私も行ったりなんかしたら、私がお兄様に恨まれてしまうわ 」
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