7.

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つーか、今夜のアレ、デートなのか。 今更に気付いて、冷や汗が出た。食事なんて、いつも行ってるから、そんな意識まるで無かった。 「それじゃあ、きちんと愛してるって言ってください!」 「ちょっと待て! 何で、京香ちゃんに?」 机を叩きそうな勢いに呑まれそうになるが、それはおかしいだろうと気付く。けれど、京香も引かなかった。 「それは、兄が真祝さんから愛してるって言われたことがないって、悶々と悩んで相談してくるからです。本当、うざったいったら 」 だから、今言って下されば私が伝えますからと言われて、真祝は頭を抱えたくなる。 あの野郎……。全く、何てことを、妹に相談してんだよ。 「ごめん。迷惑懸けて 」 謝ったら、「そんな言葉が聞きたいんじゃありません 」ときつく返された。真祝は両手を上げる。 「ハイハイ、分かったよ。俺はアイツのことを愛……?! 」 しかし、仕方なく言おうとした言葉が、喉奥で詰まる。こんなのただの言葉だ、何てことない。……なのに。 「……好き、だよ 」 言い換えた言葉だったのに、京香は満足したらしく、きゃあと嬉しそうに両手を頬に当てはしゃぐ。 「やっぱり、愛し合っていらっしゃるんですね。そうですよね! 真祝さんとお兄様は運命の(つがい)なんですから 」
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