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長い睫毛が、大きな瞳に憂いた影を作る。 「運命の(つがい)は、魂から惹かれ合う存在と聞きました。」 ぽつりと、京香が落とした言葉。しかし、真祝はその言葉に違和感を抱く。 確かに、世間一般ではそう言われる。だけど、真祝は運命の(つがい)が『魂から惹かれ合う』ものだとは違うものだと思っている。そんなに綺麗でロマンチックなものじゃない。魂と云うよりかDNAに刻み付けられた本能、もっとドロドロとして、生々しい……。 「私は初めて逢った時から、あの人に運命を感じたのに、あの人は私に対して何も感じて下さらなかったってことですよね 」 だから、相手は『運命の(つがい)』に憧れているだけの女子高生だと分かっていても、言ってしまったのだ。 「その相手に発情した? 」 「え? 」 真祝が言った意味を理解した京香が、途端に顔を赤くする。それは、『自分はお前の兄に出逢った時、発情した 』と言っているも同じだからだ。 「そんな、私…… 」 「発情してないなら、京香ちゃんの言う運命の(つがい)じゃないかもね。でも、その人に惹かれて止まないなら、それは恋で、その人こそ『魂の相手』かもしれない 」 言いながら、ズキンと胸の奥が疼く。 「魂の……、相手?」 真祝は頷いた。 「俺は、そっちの方が『運命の(つがい)』より想いは強いと思ってる 」 そうだ、いくら想いが一方通行であっても。 「真祝さんは…… 」 言いかけた京香の声にハッとして、真祝は慌てて話題を変える。
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