7.

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「取り敢えず、座っとけよ。コーヒー、飲むだろ? 」 言いながら、二海人がけだるげにキッチンへと向かう。その姿を思わず、真祝は目で追ってしまった。湯を沸かしている間も、ずっと見詰めている自分に気付き、慌てて視線を逸らす。 ポコポコと電子ケトルの音に共鳴するみたいに、ドキドキと鳴る胸を真祝は叩いた。 うるせぇ! 静まれよ、俺の心臓!! 認めたくはなかったが、認めざるをえない。真祝は久し振りの二海人の存在に心が震えるのを感じていた。 ……何なんだよ、1年経ったってのに、まだコレかよ。 キリッと口唇の端を噛む。薬指の指輪がひんやりと重い。確かめる様に右手を重ねれば、金属の冷たさが真祝を現実に呼び戻す。 あの頃とは違うのだ。一途に二海人だけを想えていたあの頃とは。 「何、突っ立ってんだよ。直ぐ持ってくから待ってなさいよって 」 「あ、あぁ…… 」 悩んで、真祝の知らない、新しいアイボリーのソファーの一番奥側に腰掛けた。 「……買い替えたんだ 」 「いい色だろ? 」 ふわりとコーヒーの薫りがして、真祝が顔を上げると、「随分、端っこに座ってんな 」と二海人が笑いながら、ソファーテーブルに真祝の分のコーヒーを置いた。 自分のコーヒーを飲みながら、二海人も反対側寄りに座る。 「……で、ここに来てまでも言いたいことっての、聞くよ? 」 そう、京香のことを聞きに来た筈だった。本当に二海人だったのか本人の口から聞いて、どうしてそんなことをしたのか確かめるため。それなのに、口を突いて出たのは、違う言葉だった。 「二海人は、大事な彼女とはうまくやってるの? 」
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