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自分で自分の言ったことにビックリする。二海人も、透明なレンズの奥で瞳を見開いている。
「いや、随分と雰囲気変わったからっ。もしか、しなくても、そのコに合わせたのか、と…… 」
言えば言う程、墓穴を掘っているのを自覚する。そして同時に、自分の本当に知りたかったのはそれなのかと愕然とした。京香のためとか思っていた自分が恥ずかしい。俺はこんなにも偽善的で、自分のことしか考えていない。
「え、あ、何言って……、俺。ごめん 」
焦る真祝を見ながら、何故だか二海人が楽しそうにこっちを見ていた。
「何だよ 」
「……大丈夫か? お前、顔赤いぞ? 」
「この部屋、暑いんだよ。ほっとけ 」
ぷいっと横を向けば、クックッと二海人が笑う。
「まぁな、付き合ってはいないけど、大事なコならいるよ 」
ツキン……と、胸が軋む音がした。
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