7.

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それなら、真祝の知っていた二海人は本来の二海人では無かったということなのか。でも二海人は子どもの頃からずっと、真祝の知っている二海人だった。それ自体が無理をして見せていた姿なのだろうか? 考えれば考える程、分からなくなる。ならば、理想の男を理想としてたらしめたのは、一体、どんな女の子なのだろう。 「二海人、でも俺は、お前がどんなお前でも大好きだよ 」 羨ましくて、悔しくて、考えただけでどうにかなりそうだ。 そのコが自分だったら、どんなに良かったのにと、心の底からそう思う。 「俺だったら、どんな理由があったって側にいたいと思う。そのコのためにならないとお前が思っていることだって、お前が考え過ぎてるだけで、そのコからしたら大したことじゃないかもしれないじゃないか 」 この1年、少しづつ棄ててきた筈だった。なのに、あっという間に引き戻されたこの気持ちを、ここまで来たら認めざるを得ない。 くしゃりと口元が歪んでしまうのが分かる。こんな時に泣きたくないのに。 滲む視界の中、二海人の驚いている顔が見えた。 「ずるいよ、お前。 俺、お前のこと、絶対許さないって思ってたのに、そんなこと聞かされたら許さなきゃいけなくなる 」 ズズッ……と、(はな)をすすったら、「ばぁか、何でまほが泣くんだよ 」と、さっきより強く頭を撫でられた。 「お前は、全く……。賢いのか、馬鹿なのか、本当分かんねぇ奴だな 」 「だから、馬鹿って言うな 」 優しい眼差しと柔らかい微笑みに、心臓がぎゅっと締め付けられるみたいに痛い。真祝は、零れる涙を隠したくて、コツンと二海人の肩に頭を乗せた。 「俺、やっぱり…… 」 その時だった。ドクン……ッと、突然、全身が戦慄く。 何、これ? 嘘、……だ。 「どうした……? 」 まだの筈だった。でも、今日は朝から熱っぽかったのは確かだ、さっきも……。 真祝は、コクリと唾を飲み込んだ。 「二海人、俺、身体が熱い……」 「お前、まさか、発情…… 」 潤む瞳で見上げたら、舌打ちをした二海人が、「気付くことも出来ねぇなんて 」と、スマホを手に取る。けれど、真祝は電話を掛けようとする手を掴んで制止した。 「どこに、掛けるの? 」 「決まってるだろ、久我の坊っちゃんにだよ 」 「嫌、だ…… 」 他の男の(つがい)になって、散々抱かれた身体だ。今更、そのことを隠そうなんて思ってはいない。だけど、何をするか分かっていて、好きな男にその相手を呼ばれるのは、どうしても耐えられなかった。 「また、俺を央翔に渡すの? 」
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