月夜の小鳥は哀切な嘘をつく。1

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「違くて…… 」 真祝は、すんなりとした細く白い腕を、二海人の首に巻き付けて引き寄せた。 こんなんじゃ足りない。 奥が疼いて堪らない。 ずっと、ぽっかりと空いている部分を二海人に埋めて満たして欲しい。 「早くコレ、俺ん中、挿れて…… 」 耳許で囁きながら二海人自身に手を伸ばすと、二海人が息を飲んだのが分かった。 外からでも、欲望がスラックスの中で大きく育って、窮屈そうなのが分かる。開放されれば、きっとそれは真祝の心も身体も充足感で満たしてくれる筈で、期待にこくんと喉が動いた。 脈打つそれを早く見たくて、前立ての釦を外す。その時だった。 「ふ、みと? 」 「これ以上は、駄目だ 」 阻まれた手を不思議そうに見つめる。 何が駄目だというのだろう。 構わずに、その手を振り払って下ろしたファスナーの間から指先を忍ばせると、またもや、手を掴まれた。 「どうし……て? 」 真祝が潤んだ瞳で見上げると、間近で端正な顔が首を横に振る。 「お前は初めてだろう? 」
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